金属アレルギーでもつけられるピアスの選び方
「金属アレルギーでもつけられるピアスを教えて下さい。」
という質問をいただきました。
ピアスの場合、生々しい表現ですが、体に付けたキズに金属をこすりつける状態なわけですから、指輪の場合よりも、選ぶ素材には気をつけなければなりません。
もちろん、金属が使われていないプラスチックのピアスを選ぶのも安全性の点ではいいのですが、どうしても安っぽい雰囲気になってしまうのは否めません。
やはり、宝石と組み合わせたりするには、金属の輝く雰囲気が似合いますよね。
ですので、今日は、金属アレルギーの方が安心して着けられるようなピアスの選び方を、正確な情報をもとに書きたいと思います。
目次
金属アレルギーとは?
金属アレルギーとは、簡単に言うと、汗や体液に触れた金属が腐食されて溶け出し、それに体が過剰に免疫反応を起こした状態のことを言います。
過剰な免疫反応によって、腫れや赤み、かゆみ、湿疹、ただれが起きます。
また、装身具による金属アレルギーは、付けた部位の周辺だけに起こることが多いですが、歯科金属やその他インプラントによる金属アレルギーは、原因物質である金属イオンが消化器や体液から循環することにより、全身に広がることが知られています。
参考論文:
Metal allergy and systemic contact dermatitis: an overview
ピアスやボディピアスの場合、装身具ではありますが、体組織の内部に金属を挿入することから、インプラントに近い位置付けで金属アレルギーの対策を考える必要があります。
チタン製のピアスは安心?
それで、市販品の中から選ぶ場合は、金属アレルギーの心配が少ないチタンを選ぶといいのですが、世の中に出回っている「チタンピアス」と呼ばれるものは、ポストの部分はチタンでもキャッチの部分は別の金属だったりするので注意が必要です。
そして、時々ネットショップなどでは、チタンでないものもチタンと言って売られていることもあるので、困ったものです。
実際、amazonで「チタン ピアス」と検索してヒットする製品も、よくよく書いてある文章を読むと、ポストはチタンだけれど、ヘッドは真鍮だったり、キャッチはステンレスだったり、そんなものがたくさんヒットします。
これには理由があります。それはなぜかというと、特にキャッチの部分などは、複雑な形状のプレス加工で作る必要があるので、プレス加工が難しいチタンが使われるとコストが大きく上がってしまうからです。
真鍮、サージカルステンレスには注意!
そこで、ピアスのキャッチの部分は、プレス加工が簡単なサージカルステンレス(鉄×クロム×ニッケル×モリブデン合金)や真鍮(銅×亜鉛合金)、洋白(銅×ニッケル合金)にロジウムメッキを掛けたものなどで作ってあることが多いです。
ニッケルと言えば、金属アレルギーの原因の代表のような金属ですし、アルミニウムや亜鉛や銅も溶け出してイオン化しやすいので、そんな金属で出来たピアスを着ければ、アレルギー反応が出て、トラブルになる事はあたりまえでしょう。
医療用ステンレスと言われるサージカルステンレスも、大仰な名前がついていますが、ようするにステンレス。合金組成は、鉄とクロムとニッケル、そしてモリブデンです。ニッケルは12%も含まれていて、金属学的に言ったら、これで医療用として大丈夫、と言われているのが信じられないくらいです。
医療用器具として、長くても数時間人体に触れるぐらいなら問題は少ないのでしょう。しかしインプラントのように半永久的に体に埋め込む金属としてはサージカルステンレスが使われることはほとんどありません。
ですので、ピアスの材質を見て、「真鍮」、「ステンレス」、「クロム」と書いてあるものは避けたほうがいいです。
また「ロジウムメッキ」とか「ロジウムプレーティング(プレーティングとはメッキのことです)」と書いてあるものもあります。ロジウム自体は金属アレルギーの心配が少なくても、メッキはすぐにはがれますので気をつけましょう。またロジウムメッキの下地にはほぼ間違いなくニッケルが用いられています。
ちなみにチタン合金も世の中に出回っていますが、多いのは形状記憶合金であるチタン×ニッケル合金や、強度が高いチタン×アルミニウム×バナジウム合金(ロクヨンチタン)であり、ニッケルやアルミニウムが含まれているものは、金属アレルギーの原因になります。
やはり、純チタンが安全です。
オール純チタンのピアスを選びましょう。
ですので、金属アレルギーに悩んでいる方は、やはり、ポストもキャッチも全て純チタンのものを選ぶことをオススメします。
素材の中に、ひとつでも、真鍮やステンレス、ロジウムのような言葉が入っていたら、気をつけましょう。
なかなか、全て純チタン(オールチタン)で出来ているピアスを扱っているところは少ないですが、このピアスは、ポストもキャッチもすべて純チタンです。
→ MARE純チタンピアス
更に言うと、チタンでも金属アレルギーが出てしまう方であっても身につけられる、まったく金属アレルギーの心配がないタンタルという金属素材があります。
医療分野でも、その生体適合性の高さからカテーテルや人工骨などはタンタルで作られています。チタン製人工骨の耐食性を向上させるためにタンタルをコーティングしたりという使い方もされています。
TOKYO DIAMONDでは、完全オーダーメイドにはなりますがタンタルのピアスをお作りする事も可能です。
金属アレルギーにならないピアスのご注文やご相談は、<こちら>から、お問い合わせください。
追記:金属アレルギー対応のピアスに関するQ&A
こちらの記事を公開してから、
「タンタルでピアスを作る場合、いくらぐらいかかるのか?納期はどれぐらいなのか?」
「タンタルで出来るデザイン、出来ないデザインを知りたい。」
というお問い合わせと、メールのやり取りを、かなりたくさんいただきました。
メールで回答をさせていただいたところ、ほとんどの方は、価格が見合わないとおっしゃいます。
事実、タンタルやハフニウムは、ともに地金の価格が非常に高い上に、溶接が出来ないので、全て削り出しで作る必要があるため、材料代が高くついてしまいます。
質問回答を以下に転記したいと思います。
質問1:タンタルやハフニウムで出来るピアスのデザイン、出来ないデザインを知りたいです。
回答:
タンタル素材やハフニウム素材は、材料の性質上、できる形状に制約があります。基本的には、出来るデザインは、線材を曲げてできる形、または輪っかの形状です。
線材を曲げてできる形は、例えば、こちらのようなデザインや
→ https://tokyo-diamond.jp/%e3%82%b4%e3%83%bc%e3%83%ab%e3%83%89%e3%81%ae%e6%8c%87%e8%bc%aa/pirece-geometrica/
または、こちらのように「ワイヤーアート ピアス」と画像検索をして見つかるようなデザイン
→ https://www.google.co.jp/search?q=%E3%83%AF
輪っかの形状は、たとえばこちら
→ http://amzn.to/2vwwnxA
その他、この形状も可能です。
→ http://amzn.to/2vwWB33
質問2:タンタルやハフニウムのピアスの価格の目安を教えてください。
回答:
価格に関しましては、たとえばこちらなら
→ https://tokyo-diamond.jp/%e3%82%b4%e3%83%bc%e3%83%ab%e3%83%89%e3%81%ae%e6%8c%87%e8%bc%aa/pirece-geometrica/
タンタルを使った場合、35,000円前後
ハフニウムを使った場合、45,000円前後
こちらの例えばφ4mmのものでしたら
→ http://amzn.to/2vwWB33
タンタルを使った場合、3万円前後となります。
ハフニウムを使った場合、4万円前後となります。
一方で、こういうデザインのピアスをお作りする場合
→ http://amzn.to/2vwUE6M
材料の分量として、指輪を作る場合とほとんど変わらないので、
タンタル素材でしたら、10万円(税別)~
ハフニウム素材でしたら、12万円(税別)~
というような価格となります。
質問3:タンタルやハフニウムのオーダーメイドピアスの納期は?
回答:
納期に関しましては、現在、指輪のご注文でかなり立て込んでおり、4ヶ月ほどを見ていただく必要があります。
以上をお読みいただくと、確かにタンタルやハフニウムでピアスを作ることは、現実的ではないと、ほとんどの方が思われることと思います。
私としても、悩みを持っている方のお役に立ちたいと思っておりますので、上記のような状況には、非常に心苦しく思っているところです。
ある程度の数量がまとまり、かつ1つのデザインに要望が集中すれば、金型から制作をして、価格を下げる方法も取れるのですが、、、、、
今後の課題ですね。
追記2:タンタルのピアスを新開発しました。
先日、タンタルのピアスを新開発いたしましたので、追記でお知らせさせていただきます。
純タンタルを用いて、不純物を含まない一体成型の削り出しで制作しているので、金属アレルギーの原因になる要素を全て排除しています。
ご興味のある方は、こちらの詳細をご覧ください。
→ https://tokyo-diamond.jp/tantalum-diamond-pierce/
このコラムの執筆者
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