絶対に金属アレルギーで困りたくない方へ。結婚指輪選び11のチェックリスト
金属アレルギーでも結婚指輪をつけたいですよね。
今回のコラムは、絶対に金属アレルギーで困りたくない方に向けて、書かせていただきました。
世の中には、金属アレルギーに「なりにくい」とか、金属アレルギーに「配慮」とか、曖昧な情報が多くて混乱しがちです。
それは、なぜかというと、ほとんど全ての金属が金属アレルギーの可能性を含んでいて、厳しく金属アレルギーに言及するとジュエリー業界が成り立たなくなってしまうからです。
でも、本当に金属アレルギーに困っている方や、アトピーなどの肌のトラブルにお困りの方には、こういう厳密な情報が必要なはず!と思います。
これまで18年に渡って2000組以上の金属アレルギー対応の結婚指輪を作ってきた経験から自信を持ってお伝えできる、金属アレルギーを完全排除するための結婚指輪選び11のチェックリストをまとめました。
このページをブックマークして、11のチェックリストを1つずつクリアしていただければ、必ず金属アレルギーの心配がなくなるはずです。
金属アレルギーを完全排除する為の、結婚指輪選び11のチェックリスト
目次
1.まず気をつけるべきは素材選び

金属アレルギーの心配がない金属は、5種類だけです。
レアメタルの中には金属アレルギーの心配がないものがあって、「チタン」は有名です。他にタンタル、ニオブ、ハフニウム、ジルコニウム、それにチタンを加えた5種類が金属アレルギーの心配がないレアメタルです。
金属アレルギーは、金属製品から溶け出した「金属イオン」に対して、免疫の過剰反応が起きて、赤みや腫れ、発疹、ひどい場合は全身の倦怠感などが起こるものですが、上記5種類のレアメタルは金属イオンが溶け出しません。
ちなみに、一般的に金属アレルギーになりにくいとされるゴールドやプラチナには、最近では金属アレルギーの報告が増えています。それはゴールドもプラチナも混ぜられた混ぜ物(銅やパラジウム)が金属アレルギーの原因になりやすいからです。
チタン、タンタル、ニオブ、ハフニウム、ジルコニウムも、混ぜものには注意が必要です。ただ、この5つのレアメタルはどれも、もともと硬い素材なので、純度が100%の状態でも充分な強度があり、そのままでも指輪の素材として適しています。
2.歯科治療も大事



もう1つ、大事なポイントがあります。
それは歯科治療です。
なぜ、結婚指輪選びなのに、歯科治療なの?と思われるかもしれませんが、現在、金属アレルギーの原因のうち、かなりの割合を占めているのが、歯に詰められた歯科金属(=いわゆる銀歯)であると言われています。
銀歯にはパラジウムが含まれていて、唾液によって少しずつ腐食して溶け出したパラジウムが、消化器から吸収されて全身を巡ります。すると、他には金属を身につけていないのに、発疹や全身の倦怠感が出やすくなります。また血液中のパラジウムは動脈硬化や心筋梗塞などの原因にもなるとされています。
いくら宝飾品の素材に気をつけていても、歯科金属から金属アレルギーの原因が供給され続けていると、症状は改善しないので注意が必要です。
食物アレルギーや花粉アレルギーなどでは、少しずつ摂取して慣らす「減感作療法」が有効とされていますが、IV型アレルギー(感作T細胞が関与する遅延型アレルギー)である金属アレルギーには効果がないとされています。ですのでパラジウムは摂取し続けても慣れないばかりか症状はひどくなる方向に進んでゆきます。
歯の詰め物はセラミックや樹脂に替え、もし歯科矯正をしている場合に金属アレルギーが思い当たる場合は、矯正ワイヤー(形状記憶合金)に含まれているニッケルに注意が必要です。最近ではニッケルを含まない形状記憶合金の矯正ワイヤーも見つけることができます。
歯科金属を取り除いた上で、結婚指輪の素材を選ぶ。これが金属アレルギーを避ける上で大事です。
3.デザインはどんな形でも自由に



3番目のチェックリストはデザインの制約について。
素材に気をつけさえいれば、デザインは基本的には自由に考えて大丈夫です。
ただ、汚れが溜まりやすい、入り組んだデザインは、避けたほうがトラブルはより少ないと思います。
汚れや、皮脂、汗などが、溜まりやすいデザインは、そこに雑菌が繁殖し、感染症や炎症の悪化を招きかねないからです。
例えば、ダイヤモンドなどを留めた場合の小さな隙間や、ミル加工(ミルグレイン)の入ったデザイン、素材の切り替えが入ったデザインの素材と素材の隙間、などは少し気に掛けたほうがいいと思います。
また、そういうデザインの場合は、こまめに洗浄するなど、衛生に気をかければ良いかと思います。
他、弊社では、指輪の内側に丸みをつけて、指との設置面積を少なくした形状をお勧めしています。実際に、汗などで蒸れなくて心地よい、という感想をよくいただきます。
4.文字入れは、レーザー刻印なら汚れが溜まりづらく衛生的



4番目のチェックリストは文字入れについて。
指輪の内側に、結婚記念日や、お名前やイニシャルなど、記念に文字を入れたいという方は多いと思います。
ただ、文字刻印も、汚れが溜まりやすい部分ではあります。
弊社では、文字刻印部分の汚れのたまりやすさに配慮して、最小限の彫り込み量で、なるべく文字が読み易い「レーザー刻印」による文字入れを行なっています。
レーザー刻印の彫り込みの深さは0.1mm程度なので、結婚指輪をつけたままお風呂に入浴すれば、ほとんど汚れは流れ落ちてくれます。
5.石留めの小さな隙間には汚れが溜まりやすい



5番目のチェックリストは宝石について。
3番目のチェックリストのところで、ダイヤモンドなどの宝石を留める場合に、石との間の小さな隙間に汚れが溜まりやすいというお話をしました。
結婚指輪(=ペアリング)であれば、婚約指輪とは違って、小ぶりなダイヤモンドを日常でつけても邪魔にならないように石留めすることが多いです。
弊社では、金属アレルギーやその他の肌荒れトラブルに配慮したセッティング法をいくつか開発しています。









いずれも、隙間を最小限に少なくし、石の顔は広く見えて、石が邪魔にならないように工夫しています。
また石を留めた裏側は貫通穴になっていないほうがいいです。貫通穴があると汚れが溜まりやすく不衛生になりがちです。
貫通穴は、宝石の明るさを増やすための工夫ですが、カットのバランスのいいダイヤモンドを選べば貫通穴がなくても輝きの明るさは変わりません。カットのバランスのいいダイヤモンドは正面から入斜した光は100%の明るさで正面に反射して輝くからです。
6.異素材の組み合わせは避けたほうが安全



6番目のチェックリストは素材の組み合わせについて。
違う金属同士を組み合わせたデザインについては、金属アレルギーの場合は避けたほうが無難です。
例えば、上の写真のような指輪の内側と外側で素材が異なるコンビネーションリングや、木目金(もくめがね)などです。他、カシメといって噛み合わせて異素材を組み合わせたデザインもあります。
違う金属同士を組み合わせた場合、金属の電位差によって腐食が促進されるガルバニック腐食(電食)が起こりやすいです。腐食が起これば金属イオンが溶け出し、金属アレルギーの原因になりやすくなります。
また、噛み合わせた隙間には、汚れが溜まりやすくなります。
金属アレルギーに配慮した場合は、単一素材にすることをおすすめしています。
7.金属アレルギーのパッチテストは必要ありません



7番目のチェックリストは金属アレルギーの検査について。
金属アレルギーの検査についての考え方が、私のお話しする内容の中で、よく驚かれることです。
一般的な宝飾品店では、「金属アレルギーのパッチテストをして、自分のアレルギーがどの金属に対するものなのかを把握した上で選びましょう。」と言われます。
ですが、私は、私のところに相談に来られる方には、「金属アレルギーのパッチテストは必要ありませんよ。」とお伝えしています。
なぜかというと、わたしのところで用いる純度100%のタンタル、ニオブ、ハフニウム、ジルコニウム、チタンならば、金属アレルギーの心配は無いからです。
金属アレルギーになる方もいるし、ならない方もいる、という素材ならばテストする必要もあるでしょう。しかし金属アレルギーになる要素がない素材ですから、パッチテストは必要ありません。
金属アレルギー専門店として素材を厳選し、絶対的な安心を提供することに責任を持っているので、このようなお伝えをしています。ちなみに、どうしてもという方には素材の破片をテスト用に提供しています。
もっと詳しくは、こちらのコラムで書いています。
→ コラム:金属アレルギーのパッチテストをしたほうがいい、は本当??
8.1つずつ素材を削り出して制作するので納期には余裕を



8番目のチェックリストは注文のタイミングと制作期間について。
ほとんどの方が、東京・代官山にお越しになって、数々の素材に実際に触れ、見た目やデザインなどを確認いただいた上で、ご注文をいただいております。
素材の指定と、デザインの指定と、サイズの指定をいただければ、メールオーダーでも対応可能です。メールで折り返しお見積をお送りします。
<TOKYO DIAMOND ホームページ>には、これまでにお作りした2000もの制作記録がアーカイブされているので、検索やタグを辿ってお気に入りのデザインを見つけていただけるはずです。
納期につきましては、たくさんのご注文を順次お作りしていますので、余裕を持ったご注文をおすすめします。
1つずつ素材を削り出してお作りしているので、4ヶ月ほどの制作期間を見ていただいたほうがいいと思います。
9.金属アレルギー対応素材の指輪のサイズ直しに注意!



9番目のチェックリストはサイズ直しについて。
金属アレルギー対応素材のタンタル、ニオブ、ハフニウム、ジルコニウム、チタンは、サイズ直しに特殊な技術を要するので、注意が必要です。
金属アレルギーにならない=不動態が強固で安定している=溶接ができない、という特徴があり、簡単に切ったり、くっつけたりできないからです。
ただ、鍛造技術によって、伸ばしたり、絞ったりができるので、サイズ修正は可能です。
デザインによっては、伸ばしたり、絞ったりができない場合がありますので、デザイン決めの際にサイズ修正の可否をお伝えいたしております。
また、「この部分をこのように変更すると将来サイズ修正が必要になった時に修正が可能なデザインになりますよ」というようなアドバイスも行なっています。
10.お二人の意見や好みをどうやって形にするか?



10番目のチェックリストはデザインの決め方について。
これが、もっとも面白い部分でもありますね。
私自身は、その答えそのものを持ち合わせていませんが、傾聴を心がけ、お二人のご希望を汲み取らせていただいて、形にするお手伝いをさせていただきます。
二人の結婚指輪を決めるという、今しかできない悩みを、存分に楽しんでください^^
ほとんどの方々は、ご相談にお越しになる際に、明確な希望を持たないままお越しになりますが、大丈夫です。サンプルもたくさん用意しています。
また、本制作の前には一度、アルミニウムを削り出して試作をお作りしています。デザインやサイズ、着け心地など、形が全く同じものを着けて確認、修正ができます。
11.メンテナンスやアフターフォローが必要ない優秀な素材について



11番目のチェックリストはアフターフォローやメンテナンスについて。
結婚指輪の完成後に考えられるアフターフォローについては、大きく3つがあります。
1つ目がサイズ直し、2つ目が磨き直し、3つ目が洗浄です。
サイズ直しは、お渡しから1年以内は無償で、以降は1万円/1本あたりでお受けしています。
磨き直しも、1万円/1本あたりでお受けしています。
洗浄については、基本的には洗浄が必要のない設計でお作りしており、指輪をつけたままお風呂に入浴すれば、すべての汚れは落ちてしまいます。
特に、タンタルとハフニウムは、安心安全な上に、丈夫でキズもつきづらく、変色も無いので、金属アレルギーフリー、メンテナンスフリー、ストレスフリーの3つが揃った素晴らしい最高級素材です。
以上、金属アレルギーにならない為の結婚指輪選び11のチェックリストでした。
分かりづらい点などがありましたら、なんでもお気軽にご連絡ください。
このコラムの執筆者
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