ピアス穴から出る膿や液体、化膿してしまう原因は?
健康な体でピアスを楽しむためには、ピアスによって引き起こされる皮膚トラブルについて知っておくことが必要です。
ピアスは皮膚に穴をあけるため、トラブルが起こりやすいアクセサリーといえます。せっかくピアスの穴をあけたのに、化膿して膿(うみ)が出てきた場合、どうすればよいのでしょうか。また、トラブルを起こさないために気を付けるべきことは、どんなことでしょうか。
傷口が炎症を起こして化膿する
本来、皮膚には、乾燥や異物から身を守るための「バリア機能」が備わっています。しかし、ケガをしたり、掻いたりすることで、バリアは壊れ、そこから細菌が入り込んでしまいます。
細菌が増殖して炎症を起こし赤く腫れた状態となると、そこに、黄白色の粘液(膿)が生じることがあります。この状態が「化膿」です。
化膿してしまうと、傷が治りにくくなるばかりか、悪化して全身症状につながるケースもあります。化膿したら放置せずに、医療機関を受診することをおすすめします。
ピアスの穴が化膿した場合、考えられる原因
ピアスで穴を開けることは、体にとっては傷を負った状態です。人間には自然治癒力が備わっていますので、多少の傷は治っていくものですが、穴を開けたばかりの部分はデリケートになっていますので、トラブルにつながるリスクが高くなっています。
また病気やストレス、睡眠不足などで免疫力が低下している時も細菌に感染しやすいといえるでしょう。
傷口が汚れていると、付着した異物や壊死した皮膚組織から細菌が感染し、炎症を起こします。そして赤く腫れて痛みも覚え、膿が出てきます。膿は細菌と戦って壊れた白血球や死滅した細菌を含んだ液体で、粘りや匂いがあります。
原因となる細菌はブドウ球菌、連鎖球菌、緑膿菌などです。化膿する原因としてよくあるのは次のようなことです。
○衛生管理が不十分な状態でピアッシングを行った
○汚れた手でピアスホールを触った
○消毒のし過ぎでピアスホールがかぶれた
○毎日のケアを怠った
○金属アレルギー
特に多いのは、汚れた手でピアスホールを触ったために感染するケースです。ピアッシングは自分で行なうよりも病院で行ない、医師の指示に従ってケアをするようにしましょう。
またピアスの穴が完成していないうちは、プールや海でピアスホールを浸すようなことも控えましょう。
金属は熱伝導率が高いため、スキー場や暑い砂浜ではしもやけややけどの心配があることを覚えておいてください。
金属アレルギーでも膿が生じる
ピアスホールの周辺がかぶれて赤くなったりかぶれたりしている場合、細菌感染以外に考えられるのは金属アレルギーです。
この2つは症状が似ています。金属アレルギーは、汗や体液によって溶け出して体内に入った金属イオンが、免疫の作用で「異物」と認識されることで、アレルギー反応が起こるものです。
ピアスは皮膚を貫通するため、金属が傷口に擦り付けられて、しかも体液で常に濡れた状態で腐食しやすいので、ほかのアクセサリーに比べて金属アレルギーが起こりやすいといえます。
アレルギーを発症しやすい金属は、ニッケル、コバルト、クロム、銅、亜鉛、パラジウムなどです。これらを含むものとして安価な真鍮(しんちゅう)製のピアスや、金メッキのもの、他、女性に人気のピンクゴールドなども金属アレルギーの原因になりやすいので注意が必要です。またプラチナの宝飾品にはパラジウムが含まれているので、金属アレルギーになりやすいです。
過敏な方は、一般に金属アレルギーになりにくいとされる18金ゴールドのピアスでも、赤みや痒み、かぶれが出ることがあります。これは18金ゴールドに含まれる銅のせいです。
ボディピアスでは、サージカルステンレス製のものをよく見かけます。サージカルステンレス製ピアスは「金属アレルギー対応」を謳った商品が多いのですが、ニッケルを多く含む合金なのでトラブルが起きた時は金属アレルギーを疑ったほうがいいでしょう。
トラブルが起きた時は、まず金属製のピアスを外し、しばらくはプラスティックやシリコンのファーストピアスなどに替えてピアス穴が安定するのを待ちましょう。金属アレルギーであれば、原因となる金属が触れていなければ症状は緩和してゆくはずです。ただしプラスティックのファーストピアスは清潔なものである事はとても重要です。過去のものの使い回しは避けたほうが無難です。
また、自分が付けている金属の素材をしっかりと把握することが大切です。ピアスの穴を開ける前に病院で金属アレルギーのパッチテストを受けるのも良いでしょう。
治癒の過程で出る体液は膿ではない
ピアスホールが赤くなり炎症が起こっても、化膿しているとは限りません。
かゆみを伴う場合は治癒に向かっているとも考えられます。自然治癒の過程で浸出液が出る場合がありますが、これは膿ではありません。浸出液はサラサラとしていますが、膿は粘液で臭いもあります。
患部を掻かないように、浸出液をきれいに拭き取り、ケアを行いましょう。
同じように炎症が起こってかゆみがある場合でも、治癒に向かっている場合と悪化している場合がありますので、正しい対処を行うようにしましょう。
化膿した時はどうする?
傷口の大きさや痛み、腫れなどの状態により対応が異なります。
軽症の場合は、金属を取り除き、清潔に保って、しばらく様子を見ることで症状がおさまる場合が多いです。また化膿止めの外用薬も市販されています。
市販の化膿止めの外用薬では、抗生物質(抗菌剤)とステロイド(炎症止め)を含有したクロマイ-P軟膏や、ステロイドを含まないクロマイ-N軟膏などが、amazonなどでも手軽に購入できます。しかし、抗生物質は安易に使いすぎると耐性菌などの問題も生じますので、慎重に、できれば医師の診断に従う方が望ましいと思います。
清潔に保つための消毒はアルコール消毒液のジェルタイプが使いやすいですが、消毒液や添加物にかぶれたりすることもあるので、毎日シャワーで洗って汚れを溜めないように注意するのがよいかと思います。
悪化するとピアスホールが広がってしまったり、ケロイド、しこりなどを残してしまったりする場合があります。セルフケアでは治癒が見られない場合は、早めに医療機関に罹りましょう。
医療機関でも抗生物質の内服薬や外用薬の塗り薬を処方されるのが一般的です。せっかく開けたピアスホールですので、早めに治療して温存を図りましょう。
金属アレルギーの薬については、こちらにより詳しくまとめています。
→ https://tokyo-diamond.jp/medicine-for-metal-allergy/
治癒後、再度ピアスをつけたい場合は?
膿や、腫れや赤みが引いたのちに、改めてピアスを着けたい場合、金属アレルギーだったならば、同じピアスを着けると症状が再発します。
その際は、純チタンのピアスがおすすめです。純チタンは金属イオンが溶け出しにくいので、金属アレルギーの心配が非常に少ないです。ただ、チタンピアスと言われて販売されているものでも、キャッチの部分はサージカルステンレスだったり真鍮のパーツが組み合わせられていたりするので注意が必要です。オール純チタンのものが安全です。
たとえば、こちらなど。 →<オール純チタンピアス>
また、これまで着けていたピアスがお気に入りで、どうしても着けたい場合は、コーティングという方法もあります。
コーティング剤を使うとマニキュアのようにコーティング樹脂を塗って乾かすだけで、金属パーツの表面が保護されるので、金属アレルギーを防ぐことができます。
デメリットとしてはしばらくするとコーティングが剥がれてしまうことです。こまめに塗り直す必要があります。
また有機溶剤の匂いが気になる、という意見もありますが、安価に、しかもお気に入りのピアスをそのまま塗るだけで、また着けられるようになるので試してみる価値はあると思います。
現在、市販で手に入るコーティング剤は、メタルコート、アレルギークリア、Sweat Barrier、の3種類があります。
メタルコートはアクリル系樹脂のため、リムーバーやマニキュアの除光液などの有機溶剤で除去でき、使いやすいです。
アレルギークリアは、成分は変性シリコンとIPA(イソプロピルアルコール)溶媒。被覆力、耐久性はアクリル樹脂に比べて高くて長持ちするようですが、宝石部分に付着すると宝石が曇ってしまい、また除去もしづらいのがデメリットです。
Sweat Barrierは、成分はフッ素樹脂とフッ素系溶媒。無色透明の薄い皮膜で、宝石類に付着しても、見た目も大きく変わらないようです。
3つとも、多少の被覆力の違いはあれど、いつかは剥離してしまうことには違いがないので、繰り返し塗布をして使用することを考えると、綺麗に除去をして再塗布がしやすいメタルコートが使いやすいのでは、と個人的には思います。
完全金属アレルギーフリーの金属素材、タンタルのピアス
弊社TOKYO DIAMONDは、金属アレルギー専門店として、金属アレルギーがまったく起こらない金属素材を用いたジュエリーをオーダーメイドでお作りしています。
チタンよりも安全で、金属アレルギーの心配が全く無い素材である「タンタル」という金属のピアスを、新開発しましたので、お知らせさせていただきます。
このピアスは純タンタルを用いて、不純物を含まない一体成型の削り出しで制作しているので、金属アレルギーの原因になる要素を全て排除しています。
もし化膿の原因が金属アレルギーならば、このタンタルのピアスはプラスティックのファーストピアス以上の安全性で着用いただけます。
スワロフスキーグラス(クリスタルガラス)やキュービックジルコニアなどとの組み合わせの気軽なアクセサリーならチタンのピアスでもいいのですが、ダイヤモンドを留める本格的なジュエリーとしてはチタンは少し似合わないように思います(また、そういう意見をよくいただきます)。
またチタンは変色するので石留め付近の入り組んだ部分に変色が起こると再研磨することもできないというデメリットもあります。
それでタンタルのピアスが欲しいというご要望を多くいただいて開発したのが、タンタルにダイヤモンドを留めたピアスです。重厚なタンタルならダイヤモンドとよく似合いますし、変色もしないのでメンテナンスフリーでずっと美しいまま楽しめます。
素材と作り方にこだわっているため、手軽なアクセサリーという感じの価格ではないですが、一生モノとして、あるいは心を込めたプレゼントとしては自信を持ってお勧めします。
ご希望の方はお問い合わせください。
→ タンタルとダイヤモンドのピアス
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このコラムの執筆者
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