18金のピアス、金属アレルギーは大丈夫なの?
『金属アレルギーでもつけられるピアスの選び方』の記事を書いてから、数人の方から
「18金のピアスは、金属アレルギーは大丈夫なのでしょうか?」
という、お問い合わせをいただきました。
そこで、今日は18金のピアスの金属アレルギーに関して、詳しく書いておきたいと思います。
18金(じゅうはちきん)ってなに?
18金(じゅうはちきん)という言葉は、聞いた事がある方は多いと思います。18Kと表記されたりもします。
金(ゴールド)の純度表記は、宝飾の世界では24分律であらわす事が多く、18/24、つまり75%の純度の金という事を表します。
ちなみに、残りの25%は、銀や銅、場合によってはパラジウムが含まれる場合もあります。
そして、この残りの25%のうち、12.5%が銀、12.5%が銅のものが18金イエローゴールド。
残りの25%が銅のものが18金ピンクゴールド。場合によってレッドゴールドとか赤金とも呼ばれます。
残りの25%が、パラジウムと銀のものが18金ホワイトゴールドと呼ばれています。
なお、世の中に出回る、ほとんどの18金ジュエリーは、18金イエローゴールドだと思っていいと思います。
18金イエローゴールドの素晴らしいところ
75%の純度の金、と聞くと、「なんだ25%も混ぜ物じゃないか」と思う方もおられるかもしれませんが、宝飾の世界で、ほとんどの金が18金(特に18金イエローゴールド)で扱われるのには、訳があります。
宝飾品の素材として見ると、純度100%の金(24金)よりも、18金イエローゴールドの方が、ずっと優れているからです。
優れている点を挙げると、次のようになります。
- 硬くて丈夫、変形にも強い。宝石のホールド力も高い
- バネ性がある。ある程度の変形ではピンッと元の形に戻る。
- 耐摩耗性が高い。磨り減ったりしづらい
- 鋳造時(熔解時)の流れが良く、精密で欠陥の無い鋳造品が作りやすい
- 時効硬化性を持つので、熱が加わって鈍っても(あるいは鋳造したままでも)置いておくだけで硬くなってくれる。
これらは純金にはない特性です。ただ銀と銅を少し混ぜただけなのに、こんなに性質が向上するため、宝飾の世界では18金イエローゴールドが好まれるのです。この事はまさにシナジーの好例です。合金の世界の2大シナジーは、ステンレススティールと18金イエローゴールドだと思います。
しかも18金であれば、宝飾品として必要十分な耐食性があり、変色もわずかにしか起こりません。(14金ぐらいまで純度が下がると変色が顕著になり始める)
18金は、金属アレルギーは大丈夫?
さて、18金は、金属アレルギーになるのでしょうか?
個人差があるため断定的には言えないので、傾向の話をすると、大まかには「イオン化傾向」が金属アレルギーのなりやすさに関係します。
金属アレルギーというのは、汗や体液によって腐食して溶け出した金属イオンに免疫が過剰反応して、赤みや腫れ、かゆみなどのかぶれが起きます。つまりイオン化しやすい金属ほど金属アレルギーの原因になりやすいわけです。
金属素材をイオン化傾向の順番に並べる事で、金属アレルギーのなりやすさの傾向を掴んでいただけるのではないかと思います。
一番金属アレルギーになりやすいのが、
ニッケルで、
それから
コバルト
ブロンズ
真鍮
クロムメッキ
鉄鋼
各種アルミ合金
そして、
サージカルステンレス
パラジウム
18金ホワイトゴールド(金にパラジウムと銀を混ぜたもの)
シルバー925
10金ピンクゴールド
10金イエローゴールド
と並んでゆきます。
そして
18金ピンクゴールド
プラチナ900(プラチナに10%のパラジウムを混ぜたもの)
プラチナ950(プラチナに5%のルテニウムを混ぜたもの)
18金イエローゴールド
純プラチナ
純金
というような順になります。
さらに、これらよりも金属アレルギーになりづらい金属素材が
チタン、
ジルコニウム、
ニオブ、
ハフニウム、
そして、一切金属アレルギーの心配がない
タンタル
と並びます。
ですので、18金イエローゴールドは、過敏な方にはおすすめはできませんが、金属アレルギーに悩む方はニッケル、スズ、コバルト、あるいはパラジウムに反応が出ている方がほとんどなので、18金イエローゴールドでは反応が出ない人が比較的多いです。
ただ、ピアスというのは、人体のキズ口に常に金属を擦り付けている状態なので、18金イエローゴールドといえども全く心配がないというわけではありません。特に含まれている銅に金属アレルギー反応が出る方が多いです。弊社に相談に来られる方は、18金イエローゴールドでも金属アレルギーが出てしまうという方も多く、やはり18金イエローゴールドでも、溶け出した金属イオンが刺激しているのは間違いないと思います。
そういう意味で、金属アレルギーパッチテストで、金、銀、銅のいずれかにアレルギー反応が出る方は、18金イエローゴールドは避ける必要があります。
また、安価なアクセサリーブランドは、なるべく原価を抑えるために、金の割合の少なくした10金ピンクゴールドや、10金イエローゴールド製品を出していますが、金の割合が少ないほどイオン化しやすい傾向にあるので、なるべく品位の高いもの(少なくとも18金以上)を選ぶことをおすすめします。
ちなみに、18金ホワイトゴールドは、パラジウムを含みますので、金属アレルギーの原因になりやすく(約半数がパラジウムに金属アレルギー反応を起こすと言われています)、避けたほうが賢明です。
また、金属アレルギーを発症した際は、すぐにピアスを外しましょう。外しさえすれば、基本的には症状がひどくなることはないはずです。
安全性を取るならチタン、デザインの自由度を取るなら18金イエローゴールド
上記の序列を見ると、金属アレルギーのなりづらさ、でいうとチタンの方が優れているのですが、チタンのピアスはデザインのバリエーションが多くなく、なかなか気に入ったものが見つからないという方も多いのではないかと思います。
合成石のキュービックジルコニアを留めたチタンピアスや、スワロフスキー(クリスタルガラス)を留めたチタンピアスなど、少し悪い言い方ですがアクセサリーレベルのピアスは多く見かけますが、ダイヤモンドや宝石類を留めたジュエリーと呼べるものでは、チタンのピアスはほとんど見かけません。
*このハイジュエリーにおけるチタンの扱いに関しては、別のコラムで書いていますので、詳しくお知りになりたい方はお読みください。
その点、18金イエローゴールドであれば、海外のハイブランドをはじめとして、様々なデザインが見つかります。
ちなみに、プラチナのピアスもありますが、宝飾品のプラチナ(Pt900)には、金属アレルギーの原因になりやすいパラジウムが含まれているので、避けた方がいいでしょう。
おすすめの18金イエローゴールドのピアス
18金のピアスだと記載があっても、18金のメッキであったり、ゴールドフィルと呼ばれる表面にだけ18金を延ばした地金を使ったピアスもあるので、これらには注意が必要です。
ハイブランドであれば、18金とか18Kと記載されていれば、間違いなく18金でしょうし、細部にもこだわって金メッキのパーツなどは使われてはいないはずですが、安価すぎるものはメッキを疑った方がいいです。
比較的手軽に購入できる質のいい18金のピアスを紹介すると、
こちらは、誕生石と組み合わせて、ポストもキャッチも18金イエローゴールドです。
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こちらの天然石と組み合わせたフックピアスも18金イエローゴールドです。
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こちらのハート型のピアスも18金イエローゴールドの方を選ぶといいと思います。
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ピアスのオーダーメイドも出来ます。
気に入ったデザインが見つからず、明確にデザインの希望をお持ちでしたら、代官山工房では、ピアスをオーダーメイドでお作りすることも可能です。
18金イエローゴールドよりも、より安全な22金イエローゴールドを使って、金属アレルギーに配慮してお作りできます。
また18金イエローゴールドでも、たとえ22金イエローゴールドであっても、またたとえ純金であったとしても、金属アレルギーの可能性はわずかに残ります。
そんな過敏な体質の方には、金属アレルギーの心配が100%無い金属素材であるタンタルで、ピアスのオーダーメイドは可能です。どうぞ、お問い合わせください。
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このコラムの執筆者
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