金属アレルギーのパッチテストをしたほうがいい、は本当??

私のところで、よくいただく質問が、「指輪を購入する前に、金属アレルギーのパッチテストをしたほうがいいのでしょうか?」というご質問です。

確かに、世の中のジュエリーショップでは、「金属アレルギーの方は金属アレルギーのパッチテストをあらかじめ受けることをお勧めします。」のように書かれていたり、相談するとそのように伝えられたりします。

ですが、弊社にお越しいただくお客さまには、 「金属アレルギーの検査は、しなくても大丈夫です。」 とお伝えしています。

それは、なぜでしょうか?詳しくお伝えしたいと思います。



金属アレルギーの検査の方法は2種類

金属アレルギーの反応テストの方法には、大きく2つ、接触テスト(48時間閉鎖型パッチテスト)と、血液テスト(リンパ球刺激試験)があります。


現時点で一般的なのはパッチテストとも呼ばれる接触テストです。

試薬を貼り付けて経過観察するだけという点で、血液検査に比べて費用も抑えられるというメリットもあります。保険診療が適用されるので3割負担で1,080円ほどで受けられます。最近ではパッチテストを実施してくれる皮膚科の病院も増えてきました。本記事の末尾にパッチテストを実施してくれる皮膚科のリストも記載しています。

ただ、パッチテストの問題点は、副作用として、アレルギー反応の強い人は跡が残る場合もあること、また48時間〜最長1週間の検査の期間中はお風呂に入れず夏場などは不快感を感じることもデメリットです。数回の通院が必要という煩わしさもあり、また過敏な方にとっては、ニッケルやクロムの溶液を肌に直接付けて数日間もそのままでいることに、想像するだけでゾッとした嫌悪感を感じる人もいるのではないかと思います。

パッチテスト(SATOホームページより転載)

一方で血液検査なら、採取した血液を検査するので、副作用がないこと(跡が残らないこと)、パッチテストのような不快感がないことなどのメリットが挙げられますが、検査費用が高く、また血液検査の問題はほとんどすべての金属に何らかの反応が出てしまうことだと言われています。

それほど、人間の血液は、ほとんどの金属に対して敏感に反応するということです。金属アレルギーのことを殊更に言うまでもなく、人体にとってほとんどの金属は基本的に毒として振る舞います。(=金属中毒)



金属アレルギーのパッチテストの検査項目

48時間閉鎖型パッチテストの検査項目は、

アルミニウム(塩化アルミニウム)
コバルト  (塩化コバルト)
スズ    (塩化第二スズ)
鉄     (塩化第二鉄)
プラチナ  (塩化白金酸)
パラジウム (塩化パラジウム)
マンガン  (塩化マンガン)
インジウム (三酸化インジウム)
イリジウム (四塩化イリジウム)
銀     (臭化銀)
六価クロム (重クロム酸カリウム)
三価クロム (硫酸クロム)
ニッケル  (硫酸ニッケル)
亜鉛    (塩化亜鉛)
金     (塩化金酸)
銅     (硫酸銅)
水銀    (塩化第二水銀)

の17種類(16種類の金属、17種類の金属イオン)です。

これは、一般的に日常的に触れる可能性のある金属だから、この17種類が選ばれているのだと思います。

ところがこの検査項目を見ると、弊社で指輪として用いている、タンタルもハフニウムも、ジルコニウムも、比較的メジャーなチタンでさえも項目に入っていません。また結婚指輪の素材に使われるルテニウムも入っていないですし、ましてやレニウムやニオブなどが入っているはずもありません。マイナーすぎるのだと思います(笑)。

そんな金属アレルギーのパッチテストをしたほうがいいのかというと、私はいつも「必要ないですよ」とお伝えしています。

そう言うと少し乱暴に聞こえるかもしれませんが、パッチテストというのは人によっては反応が出るし、また人によっては反応が出ない、そういう可能性のある金属をテストするため、という位置付けのテストです。

金もプラチナも、人によっては金属アレルギーの可能性があるから、テストをするわけです。

一方でタンタルとハフニウムは、金属アレルギーは全く心配ありません。金属イオンが溶け出さないので金属アレルギーになる要素がないからです。検査も必要ありませんし、そもそも検査項目に存在しません。



金属アレルギーは将来、体質変化することもある

私のところに相談に来られる方の中には、

「出産を境に、体質が変わったからか、金属アレルギーが出るようになってしまった。」

「結婚当初は着けられていたプラチナの指輪が、数年前から痒みが出て、特に夏は着けられなくなってしまった。」

のように、おっしゃる方がいらっしゃいます。体質は変化します。

そういう意味で、金属アレルギーの検査をして、自分に反応が出る金属、反応が出ない金属を特定したとしても、それはその検査をした時点の結果であって、将来に渡ってずっと同じとは限らないのです。

それほどに、一生ずっと着ける結婚指輪の素材を選ぶ判断基準として、金属アレルギーパッチテストの検査結果は、頼りないと言えます。

もちろん、現状を把握する手段として、ご自身がどの金属に金属アレルギーが出るのかを知ることは興味深いことだとは思いますが、

 ・金属アレルギーパッチテストの不快感、複数回の通院のめんどくささ、副作用(跡が残る)の可能性 

 ・将来、体質が変化して、テスト結果と変わってしまう可能性があること 

を考えると、パッチテストの必要性に疑問を感じてしまいます。



金属アレルギーパッチテストのデメリット・メリットまとめメリット

メリット

・どの金属にアレルギー反応が出るのか、手軽に調べられる。

・保険診療が適用されるので、3割負担で1,080円ほどで受けられる。

ほか、医療機関で金属アレルギーパッチテストを受ければ診断書を出してもらえるので、歯科治療においてハイブリッドセラミックを保険適用で使用できる、というメリットもあるようです。


デメリット

・医療機関に数回の通院が必要(初日、3日目、7日目など)。

・48時間〜最長1週間の検査期間中はお風呂に入れず、シャワーのみで過ごす必要がある。

・かゆみや、赤い痕などが、検査期間終了後もしばらく残ることがある。

・ニッケルやコバルトなど、多くの人がアレルギー反応を起こす金属も、一通り検査しなければならない。過敏な方には非常に苦痛。

・将来の体質変化によって、アレルギー反応の結果は変わってしまうこともある。



金属アレルギーの検査をしなくても安心な金属素材

金属アレルギーの検査の煩わしさを考えると、タンタルやハフニウム、ジルコニウムなどの金属アレルギーが一切心配がない素材があるので、それらを選んで生涯ずっと安心できるなら、その方がいいのではないかと私は考えるのですが、いかがでしょうか?

一般的なジュエリーショップとは、言うことが違うかと思いますが、私は私のところに来られる方や見つけていただいた方の、時間の無駄や労力の無駄を省いてあげられたらという想いから、このコラムを書いています。

世の中のジュエリーショップが、「金属アレルギーの方は金属アレルギーのパッチテストをあらかじめ受けることをお勧めします。」と伝えるのは、自社商品では金属アレルギーについての責任を持てないからです。

一方で、弊社は金属アレルギー専門店として素材を厳選し、安心を約束することに責任を持っています。

それだけタンタルとハフニウムの安心感には自信がありますし、このお客さまの方々の声は、実績を裏付けていると思います。

弊社で指輪をご注文いただいた、お客様の声
→ https://tokyo-diamond.jp/voice-tantalum/


また、この「金属アレルギーにならない結婚指輪」は、金属アレルギーに悩んでいた当時の彼女(今は妻ですが)のために、開発したものです。

こちらに、その時のストーリーを書いていますので、私の本気度が伝わりましたら嬉しいです^^
https://tokyo-diamond.jp/hypo-allergenic-wedding-ring/



金属アレルギーパッチテストができる医療機関

最後に、金属アレルギーパッチテストの検査をしてもらえる医療機関のリストを記載しておきます。

日本医科大学付属病院
東京都文京区千駄木1-1-5
TEL: 03-3822-2131

山手クリニック
東京都世田谷区代沢2‐28‐11
TEL:03-5431-5228

おおしま皮膚科
静岡県浜松市東区宮竹町92
TEL:053-468-5577

ヒフ科クリニックいつみ
大阪府松原市上田3-1-13 サンライズビル2階
TEL:072-330-5743

藤田医科大学 ばんたね病院
愛知県名古屋市中川区尾頭橋 3-6-10

よしき皮膚科・形成外科
福岡県福津市日蒔野5丁目14-6 メディカルプレイス福津内
TEL:050-5578-9453

最近では多くの皮膚科で金属アレルギーのパッチテストを実施しているので、ご近所の皮膚科に相談してみるのもいいと思います。ほか、「金属アレルギー パッチテスト 地域名」と、地域名のところに渋谷とか横浜など最寄りの街を入れて検索すると、金属アレルギーのパッチテストを受診できる医療機関が見つかるはずです。


参考論文・参考文献:

皮膚テストの実際
https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/57/5/57_KJ00004933910/_pdf

パッチテストの実際
https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/57/12/57_KJ00005180552/_pdf

プリックテストとパッチテストの実際
https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/57/2/57_KJ00004879820/_pdf

金属アレルギーのパッチテスト陽性率と臨床的関連性
https://www.jstage.jst.go.jp/article/skinresearch1959/42/1/42_1_11/_article/-char/ja/



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