金属アレルギーのパッチテストを自分で行なう方法

「金属アレルギーのテストは自宅でできる方法はありませんか?」

「金属アレルギーのパッチテストを自分でやりたいのですが、
医療機関(クリニック)でしか、できないのでしょうか?」

「金属アレルギーの検査を自分でできるテストキットとか、ないでしょうか?」

このような、お問い合わせやご相談をよくいただきます。

そこで今日は、自分でできる金属アレルギーのパッチテストの方法について、出来ることと出来ないこと、簡易な方法などについて書きたいと思います。



金属アレルギーのパッチテストとは?

金属アレルギーと一言に言っても、金属の種類によって、反応が出る金属と反応が出ない金属、反応の強弱も人によって異なります。

それで、どの金属に反応が出るのかを調べる方法が、金属アレルギーのパッチテストです。

SATOホームページから転載

具体的には、それぞれの金属の試薬を染み込ませたガーゼを肌に貼り付けて48時間(2日間)、場合によっては4日〜1週間経過観察をして、炎症やかぶれの発生の有無を見ます。



金属アレルギーパッチテストができる医療機関

金属アレルギーのパッチテストは、皮膚科の病院で保険診療が適用され3割負担で1080円ほどで受けられます。

日本医科大学付属病院
東京都文京区千駄木1-1-5
TEL: 03-3822-2131

山手クリニック
東京都世田谷区代沢2‐28‐11
TEL:03-5431-5228

ヒフ科クリニックいつみ
大阪府松原市上田3-1-13 サンライズビル2階
TEL:072-330-5743

藤田医科大学 ばんたね病院
愛知県名古屋市中川区尾頭橋 3-6-10

他にも、最近では金属アレルギーのテストを行なってくれる医療機関は増えていますので、「地域名 パッチテスト」のキーワードで検索すれば見つかると思います。

ただ、テスト初日とテスト期間の1週間のうち、2日後、4日後など複数回の通院が必要なので、医療機関が遠方の場合など、利用がしづらい面もあります。



パッチテストキットは購入できる?

それでは、医療機関に罹らないで、自分で検査することはできるのでしょうか?

パッチテストのキットを探すと、2つのテストキットの製品が見つかります。

佐藤製薬のパッチテストパネル®(S)
https://medinfo-sato.com/patch-test-panel/

鳥居薬品のパッチテスト
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00045917

上記医療機関でも、このいずれかのテストキットを用います。


佐藤製薬のパッチテストパネル®(S)は、金属アレルギーだけでなく、天然樹脂や合成樹脂なども含めた、接触皮膚炎全般をテストするためのキットです。

試薬の成分を挙げると、

・硫酸ニッケル
・ラノリンアルコール
・フラジオマイシン硫酸塩
・重クロム酸カリウム
・カインミックス(アミノ安息香酸エチル、ジブカイン塩酸塩、テトラカイン塩酸塩)
・香料ミックス(α-アミルシンナムアルデヒド、イソオイゲノール、ケイ皮アルデヒド、オイゲノール、ケイ皮アルコール、ヒドロキシシトロネラール、ゲラニオール、オークモス)
・ロジン(精製松脂)
・パラベンミックス(パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸ベンジル)
・ペルーバルサム
・金チオ硫酸ナトリウム
・塩化コバルト
・ p-tert -ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂
・エポキシ樹脂
・カルバミックス(ジフェニルグアニジン、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛)
・黒色ゴムミックス(N -イソプロピル-N’ -フェニルパラフェニレンジアミン、N -シクロヘキシル-N’ -フェニルパラフェニレンジアミン、N,N’ -ジフェニルパラフェニレンジアミン)
・イソチアゾリノンミックス(5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン)
・メルカプト、ベンゾチアゾール
・パラフェニレンジアミン
・ホルムアルデヒド
・メルカプトミックス
・チメロサール
・チウラムミックス

の22種類です。

参考論文・参考文献:
https://ci.nii.ac.jp/naid/10030755910/
http://www.pieronline.jp/content/article/0039-2359/240060/538
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/7290707T2025_1_04/

このうち金属アレルギーに関わる試薬は、硫酸ニッケルのニッケルと、重クロム酸カリウムの重クロム、金チオ硫酸ナトリウムの金、塩化コバルトのコバルト、の4種類の金属だけです。

イーファーマのサイトなどで販売はされていますが、処方箋医薬品のため、医師の処方箋なしには購入できません。


鳥居薬品のパッチテストは、金属アレルギーのパッチテストとして広く用いられているものです。検査項目は以下の17の金属です。

・アルミニウム(塩化アルミニウム)
・コバルト  (塩化コバルト)
・スズ    (塩化第二スズ)
・鉄     (塩化第二鉄)
・プラチナ  (塩化白金酸)
・パラジウム (塩化パラジウム)
・マンガン  (塩化マンガン)
・インジウム (三酸化インジウム)
・イリジウム (四塩化イリジウム)
・銀     (臭化銀)
・六価クロム (重クロム酸カリウム)
・三価クロム (硫酸クロム)
・ニッケル  (硫酸ニッケル)
・亜鉛    (塩化亜鉛)
・金     (塩化金酸)
・銅     (硫酸銅)
・水銀    (塩化第二水銀)

ただ、やはり医療関係者のみにしか販売されていないようです。

ちなみに、トリイのパッチテープの名称で、楽天やヤフーショッピングなどでも販売されているものが見つかりますが、これはパッチテスト用のテープだけでの販売なので試薬は別売です。(パッチテープは、どちらかというとヘアカラーの際に自分でパッチテストをする為に販売されています)


もう1つ、佐藤製薬のパッチテストパネル®(S)の元になった、スウェーデンのファルマシア社のT.R.U.E. TEST®というパッチテストが、SmartPractice Dermatology|Allergyという製品名で見つかります。検査項目は佐藤製薬のパッチテストパネル®(S)と同じです。海外のサイトから購入できるものもあるようですが、おすすめはしません。

やはり、金属アレルギーの検査は、医師の判断の元で行なうことがよいかと思います。



自分でパッチテストを行なう方法

*以下に書く内容は、医療機関による正式な方法ではないので、自己責任での活用をお願いいたします。万が一のトラブルの際も、弊社では責任を負いかねます。


どの金属に反応が出るかどうかを調べるだけであれば、実際に金属を絆創膏などで肌に貼り付けて、炎症やかぶれが出るかを見ることができます。

ですので、金属アレルギーのパッチテストで検査される17種類の金属を、身近に手に入る金属製品で挙げると、次のようになります。


アルミニウムは、一円玉です。

コバルトは、身近なものではなかなか見つかりませんが、そもそも金属アレルギーに非常になりやすい金属なので、避けた方がいいです。あえて挙げるなら超硬チップにコバルトが含まれていて、電動ノコギリの刃先に使われています。

スズは、十円玉が身近です。十円玉には他に銅と亜鉛が含まれるので、銅だけをテストする為の銅線と、銅と亜鉛の2元の五円玉と併せて見る必要があるかもしれません。ただ亜鉛とスズのいずれも非常に金属アレルギーになりやすい金属なので、避けた方がいいです

鉄は、砂鉄や釘などです。

プラチナは、なかなか身の回りでは見つけにくいのですが、プラチナ箔が工芸用途としてネット通販で手に入ります。

パラジウムも同様に、なかなか身の回りでは見つけにくいのですが、パラジウム箔が工芸用途でネット通販で手に入ります。

マンガンは、身近なものではなかなか見つかりませんが、そもそも金属アレルギーに非常になりやすい金属なので、避けた方がいいです。

インジウムは、身近なものではなかなか見つかりません。日常生活で触れることも稀だと思います。

イリジウムも、なかなか見つかりません。あえて言うと、弊社でイリジウムの指輪を作る際に削り屑が出ますので、それをご希望の方にはお譲りすることは可能です。

銀は、シルバーアクセサリーが身近ですが、シルバー925のアクセサリーには銅が混ぜられているので、アレルギー反応が出たとしても正確に銀によるものかどうかを判定できません。銀箔がネイルや工芸用途でネット通販で手に入ります。銀箔は純銀なので銀だけを純粋にテストできます。

六価クロムは、強い毒性があるので、金属アレルギーでなくとも避けるべきです。あえて六価クロムを取り出して接触テストをしなくてもよいのではないかと思います。

三価クロムは、メッキ製品です。例えばプラチティックで銀ピカに輝いているものはクロムメッキがされたプラスティックです。

ニッケルは、百円玉や五百円玉が身近です。

亜鉛は、五円玉が身近です。

金は、なかなか身の回りでは見つけにくいのですが、金箔が食用や工芸用途でネット通販で手に入ります。

銅は、電源コードの銅線が純銅なので、身近に見つかります。

水銀は、身近なものでは体温計などを割ると液体の金属が出てきますので、これが水銀ですが、水銀はそもそも毒性が強いので金属アレルギーでなくとも避けるべきかと思います。


以上、このように挙げてみましたが、すべてをテストする必要はなく、例えばプラチナとパラジウムと金と銀と銅の5種類を試せば、一般的な宝飾品のアレルギーテストとしては十分ではないかと思います。

例えば、多くの人が金属アレルギーを発症するニッケルやコバルトや重クロムなど、毒性があり痒くなるのが明白なものを貼り付ける必要はないですし、1週間も貼り付けているのかと想像するだけでゾッとする方もいるのではないでしょうか?

「金属アレルギー パッチテスト」と画像検索するとパッチテストで背中が真っ赤っかに腫れた画像がたくさんヒットしますが(あえて掲載はしません)、金属アレルギーと分かっていて検査を続ける必要があるのか疑問に思ってしまいます。

発症する金属を探すというより、発症しないものを確認する、という位置付けがいいのではと個人的には思います。そういう意味では自分でテストするものを選べるのはいいですね。(医師の判断がないから危険なのではなく、劇薬である試薬を使うことが危険。目的と手段の区別。)



宝飾品材料のテスト試片を販売します。

金属アレルギーのパッチテストを自分でやってみることを推奨するわけではありませんが、どうしても自分で試してみたい方のために「試片」として宝飾品材料をお譲りいたします。

左から、
18金イエローゴールド(金75%、銀12.5%、銅12.5%の合金)、
プラチナ900(プラチナ90%、パラジウム10%の合金)、
イリジウム割プラチナPt900-Ir100(プラチナ90%、イリジウム10%の合金)、
ルテニウム割プラチナPt950-Ru50(プラチナ95%、ルテニウム5%の合金)
シルバー950(銀95%、銅5%の合金)、
純イリジウムの切削粉、
の6種類です。

左の5つは約3mm角×厚み約0.1mmという大きさで、実際の材料を圧延して切り出したものです。

医療機関によるパッチテストには含まれないルテニウムなど、実際には結婚指輪の素材に使われているものですので、実際に即して材料そのものを試片にしています。

貴金属材料ですので、6種類のセットで6,000円(税別)となりますが、箔を1つずつ手に入れるより破格だと思います。また工芸用の箔よりも厚みがあるので破れたりしなくて扱いやすい厚みに調整しています。

ご希望の方は、お問い合わせフォームからお知らせください。


他、金属アレルギーのパッチテストが必要なのか、必要でないのか、につきまして、

金属アレルギーのパッチテストをしたほうがいい、は本当??

のコラムで詳しく書いています。どうぞ、ご一読ください。




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