これって金属アレルギー?検査はどこに行って、なにをすればいい?

ネックレスや時計、あるいは指輪やピアスによる湿疹、かぶれが起きた時、これが金属アレルギーというものなのかな?と疑問に思いますね。

どうやって確認をして、どう対処すればいいのでしょうか?

皮膚のトラブルなので真っ先に皮膚科が思い浮かぶと思います。確かに皮膚科が専科となりますが、金属アレルギーの治療はアレルギー専門、またはアレルギーに詳しい皮膚科に罹ることが大切です。


金属アレルギーはどんな症状?

金属に触れている部分が、赤く炎症を起こしたり、かゆくなったり、ブツブツと湿疹が起きたり、ひどい場合はただれになるのが金属アレルギーの症状です。

また、なんとなく頭痛、肩凝り、疲労など、体調不良が続いている原因が、金属アレルギーの場合もあります。

金属製品から溶け出した金属イオンが、体内に取り込まれて、免疫が過剰反応することで症状を引き起こします。汗によって金属は溶け出すので、汗をよくかく夏場に金属アレルギーの症状が出やすい方も多いです。

また、ピアスは、体内に金属を挿し入れている状態なので金属が溶け出しやすく、他の装飾品に比べて金属アレルギーのトラブルが多く報告されます。

これらの症状が出た場合は、どの金属に対して反応が出るのかを調べるために、金属アレルギーのパッチテストが有効です。


検査にはどのようなものがあるのか?

金属アレルギーの予防や対策のためには、アレルギーの原因となる金属の特定が重要です。そのために行われる検査は次のようなものがあります。

〇血液検査
アレルギーがあるかどうかの確認のために行われます。
採血によって血液中のIgE抗体の数値を調べます。IgE抗体は体がアレルギーに対抗したときにできるたんぱく質で、花粉症やアトピー性皮膚炎では数値が高くなることで知られています。
しかし、金属アレルギーでは数値が低い場合もあり、これだけでは判断することはできません。

〇リンパ球幼若化試験
患者さんの血液から白血球の中のリンパ球をとり出し、試験管の中で原因と思われる金属と反応させ、アレルギーの有無を確認するテストです。
ただしこの検査は保険適応外なので、費用が1万円ほどかかってしまうのが難点です。

〇パッチテスト
アレルギーの疑いのある試薬を肌に貼り付けて反応を見るテストです。



有用性の高いパッチテスト

金属アレルギーの可能性が高い場合、上記の3つの方法の中で、もっとも有用性が高いものはパッチテストです。

これは金属を溶かした水溶液を肌につけて、アレルギー反応がおこるかどうかをチェックするものです。

スタンダードな検査では、アクセサリーやジュエリーなどに使用される16種類(アルミニウム、コバルト、スズ、鉄、プラチナ、パラジウム、マンガン、インジウム、イリジウム、銀、クロム、ニッケル、亜鉛、金、銅、水銀)について調べることができます。

金属アレルギー(接触皮膚炎)は皮膚科が専科ですが、皮膚科ならどこでも実施しているというわけではありません。

アレルギー専門や、アレルギーに造詣の深いクリニックや病院に限られます。逆に言えば、金属アレルギーが疑われる症状が出たときは、パッチテストを行っている病院を受診することが大切です。

このコラムの末尾には、金属アレルギーのパッチテストを行なっている医療機関のリストを用意しましたので、お役立てください。

通常、初診、テスト当日、2日後、3日後、7日後の計5回の通院が必要となるようです。検査料は健康保険適応ですので、自己負担割合が3割の場合で1,000円程度です。別途診察料がかかると予定しておくと良いかと思います。



パッチテストの方法

金属を溶かした水溶液をテスト用の絆創膏に塗布し、背中の中央部に貼り付けます。

48時間後に絆創膏をはがし、その30~60分後に判定を行います。はがしたあとの背中が赤くなっていたり、ただれたりしていれば、そこに貼った金属にアレルギーがあると判定されます。

この時点で反応がなくても、72時間後(3日後)、168時間後(7日後)と時間が経って反応が出ることもあります。

ただ、ここまで慎重に行っても、絶対とはいえないのが難点です。陽性反応が出た場合は、その金属にアレルギーがあると判定できますが、陰性でもアレルギーがないとは言い切れません。

その日の体調であったり、水溶液の濃度であったり、条件が変われば陽性になる可能性があるのです。つまりパッチテストで判断できるのは、「アレルギーがあるということに限られる」といった認識をしておくのが良いでしょう。



チャレンジテストで確かめる

パッチテストで用いるのは微量の金属を含む水溶液なので、テスト結果が陰性であっても、やはり実情として症状から金属アレルギーが疑われる場合、「チャレンジテスト」を行う場合があります。

これは金属を多量に含む食品を患者さんに食べさせて、かゆみや発疹を誘発させるテストです。

パッチテストよりも体への負担が大きくなりますが、陽性を見つけ出す検出率は高いです。

検査後に皮膚の症状が悪化すれば金属アレルギーが疑われます。逆に、金属を多く含む食品を極端に制限する検査方法もあります。症状が改善すれば、やはり金属アレルギーが疑われるというわけです。



パッチテスト中の注意事項と副作用

検査用の絆創膏を貼っている2日間は、その部位を濡らすことができないので、入浴やプールは禁止となります。

濡らさないようにシャワーを浴びたり洗髪したりすることは可能です。また、汗で水溶液が薄まってしまうことを避けるため、激しい運動やサウナも控えます。かゆみが生じてもかいたり、たたいたりは禁物です。

また、パッチテストによって副作用が出る可能性があります。軽いものでは、絆創膏かぶれです。また、アレルギー反応が出た場合は色素沈着の痕が残る可能性があります。

さらにパッチテストをしたことで、様々な金属に晒された結果、新たな感作が起こる可能性もあります。これらのことを理解したうえで、検査することが大切です。



金属アレルギーパッチテストができる医療機関

金属アレルギーパッチテストの検査をしてもらえる医療機関のリストを記載しておきます。

日本医科大学付属病院
東京都文京区千駄木1-1-5
TEL: 03-3822-2131

山手クリニック
東京都世田谷区代沢2‐28‐11
TEL:03-5431-5228

ヒフ科クリニックいつみ
大阪府松原市上田3-1-13 サンライズビル2階
TEL:072-330-5743

藤田医科大学 ばんたね病院
愛知県名古屋市中川区尾頭橋 3-6-10


他にも、「金属アレルギー パッチテスト 地域名」で検索すると、検査をしてもらえる医療機関が見つかるのでは、と思います。複数回の通院が必要なので、お住いの近くで見つかるといいですね。地域名には町の名称や、近くの大きめの町の名称など、いろいろ試して見てください。



<追記>

弊社では、金属アレルギーが全く心配がない、タンタルやハフニウムという金属素材で指輪をはじめとしたジュエリーを制作しています。

これらの金属を選べば、煩わしいパッチテストで確かめずとも、安全なジュエリーが出来上がります。

詳しくは、こちらのコラムで、書いています。どうぞお読みください。
コラム:金属アレルギーのパッチテストをしたほうがいい、は本当??



このコラムの執筆者



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