真鍮とは?金属アレルギーと毒性について解説します。
真鍮(しんちゅう)のアクセサリーは金属アレルギーになりますか?
真鍮は、体に悪いものなのでしょうか?毒性はありますか?
このような、ご質問をいただくことがあります。
真鍮のアクセサリーの安全性について、気になるところですね。
そこで、今日は、真鍮の金属アレルギーやその他のデメリット、そしてその原因と対策について、詳しく書いておきたいと思います。
真鍮(しんちゅう)とは?
銅(元素記号:Cu)と亜鉛(元素記号:Zn)の合金を総称して、真鍮と言います。他、黄銅(おうどう)と呼ばれたり、ブラスと言われたりもします。真中と書かれたりすることもあります。
熔解した銅に、亜鉛を投入して製造されます。
身近なところでは、5円玉が真鍮で出来ていて、他にも金管楽器など黄金色に輝くのが特徴の合金です。
なぜ、こんなにも真鍮製品が、世の中にたくさん?
真鍮は、アクセサリーや、洋服の金属パーツ(ファスナーやリベット)、ベルトのバックル、など身近に触れることが多い金属です。
銅と亜鉛はともに材料が豊富で、原価も比較的安く、鋳造加工で精密にかつ大量生産ができる合金だからです。
その上、黄金色の見た目から、服飾品や彫像にも好まれます。
他には、真鍮の変わった特徴として、音色がいいことが挙げられます。金管楽器や、ベル、仏具のおりん、音叉、などの音響素材として使われることも多いです。これは銅と亜鉛が合金化することで硬くなり(ヤング率が高くなり)、音響の伸びがよくなるためです。さらにスズ(元素記号:Sn)も混ぜると、より金属素材内部の応力が高まり、音響の伸びが良く、澄んだ音色になります。
余談ですが、古代におけるオリハルコンとかヒヒイロカネと呼ばれる金属は、真鍮のことだったという説が濃厚ですね。(なあんだ真鍮だったのか。残念。。)
なぜ真鍮に金属アレルギーが起こる?
金属アレルギーは、金属から溶け出した金属イオンに、免疫が過剰反応してしまう状態です。(実際には金属イオンによってタンパク質が変質し、それが抗原になってT細胞がサイトカインを、、、と難しいメカニズムの話はありますが、ここでは難しくしないために省略します)
真鍮に金属アレルギーが起こりやすいのはつまり、簡単に言うと、真鍮がサビやすいからです。
五円玉や、金管楽器などは、汗がついたまま放置すると、すぐに青緑色のサビで曇ってしまいます。このサビは緑青(ろくしょう)と言われたりしますがサビ=金属イオンです。このサビがカブレやかゆみなど金属アレルギーの原因になるのです。
見に見えないほどのサビだとしても、5円玉をずっと触っているとピリピリとした感じを感じられる方もいると思います。あれが溶け出した金属イオンです。
銅イオン、亜鉛イオン、ともに、比較的金属アレルギーの原因になりやすい物質です。
真鍮の毒性は?緑青は猛毒では?
真鍮のサビである緑青(ろくしょう)は、昭和の頃までは猛毒であると考えられ、一部の教科書や辞書類にも猛毒であると書かれていたようです。
私も子供の頃に、緑青は毒で、口に入れると有害であるというような話を聞いたことがあります。
ただし、これは間違いであったことが確認されています。銅の精錬の場で中毒症状が多く見られましたが、実際には銅の鉱物に多く含まれるヒ素が原因であったのが、緑青が猛毒であるという通説につながったようです。
銅も亜鉛も、また銅イオンも、亜鉛イオンも、毒性はないです。むしろ亜鉛イオンは必須ミネラルの1つとされています。
金属アレルギーにだけ、注意が必要です。
真鍮の金属アレルギー対策1
銀メッキをかける
それでは、どうしたらいいのかという話ですが、まず真鍮製品が肌に触れている部分で金属アレルギーが起きたら、肌に触れないように外しましょう。しばらくすれば症状は緩和するはずです。それでも症状が緩和しない場合は、医療機関に相談したほうがいいです。
そして対策として有効なのは、真鍮と肌とが触れないようにすることです。
一つの対策として、真鍮製品に銀メッキをかけることで、表面が銀に守られて、真鍮がサビなくなるようにすることができます。
銀メッキ以外には、金メッキがより高い効果を得られます。金メッキなら真鍮の黄金色の見た目とも近いので、お気に入りの真鍮のアクセサリーに金メッキをかけるというのは一つの有効な手段です。小さなものなら、それほど費用もかからないです。
ただし、メッキが剥がれてしまえば、真鍮が露出してくるので、効果は永続的なものではありません。また銀や金、あるいはメッキの際の下地の金属などに金属アレルギーが出てしまう過敏な方もいます。
また、メッキ加工の工程上、金属部分だけを取り出さないとメッキをかけることはできないので、できる形にも限りがあります。
例えば、こちらのキットを使えば、自分で金メッキをかけることもできます。
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真鍮の金属アレルギー対策2
コーティング剤を使う
もう一つの対策法として、プラスティック系のコーティング剤を塗る方法が挙げられます。
例えば、こちらのコーティング剤などですが、
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これなら、真鍮が直接肌に触れないようにできる上に、透明なコーティングなので見た目の違和感もありません。マニキュアのように簡単にコーティングができます。
ただ、プラスティックコーティングはツルツルに磨き上げられた金属表面では剥がれやすいのがデメリットです。コーティングが剥がれたら、こまめに塗り直すなどの手間がかかります。
また、チェーンなど複雑な形状のものにはコーティングは有効ではありません。(うまく全体的にコーティングすることができません)
真鍮の金属アレルギー対策3
別の安全な金属で作り変える
もっとも根本的な解決法は、真鍮を取り除いて、金属アレルギーの心配がない素材に置き換えることです。
ただ、安価な金属ほど腐食しやすく(サビやすく)、逆にサビない金属になるほど高価になるのが悩ましいところです。
チタンなどは、比較的安価で、金や白金よりもサビに強いので、肌に触れる部分だけでもチタンに置き換えることができるならば、有効な手段になります。
真鍮のピアスのポストの部分やフックの部分だけを純チタンに替える、というようなことは比較的簡単にできます。またネックレスならチェーンの部分だけ純チタンのチェーンに換えるのも有効です。
参考:
純チタンのポストパーツ
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純チタンのフープ(フックパーツ)
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純チタンのチェーン
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純チタンの留め具
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コーティング剤(メタルコート)
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他、弊社では、真鍮のアクセサリーを型取りして、18金ゴールドや22金ゴールドで全く同じ形をお作りすることも可能です。
1、2、3の方法で、どの方法が最も良いかなど、お問い合わせいただければ、適切な方法をご案内させていただきます。
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このコラムの執筆者
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