金属アレルギーフリーのジルコニウムの指輪の危険性について

金属アレルギーフリーのジルコニウムの指輪の危険性

色あざやかに発色する、面白い性質を持ったジルコニウム。

金属アレルギーの心配がない素材でもあり、注目が集まっています。

しかし、ここ20年ぐらいしか宝飾品に使われていない新しい素材だけに、

危険性はないのか?
何かデメリットがあるんじゃないか?
健康被害の可能性は?

などなど、気になるところです。

しかも、宝飾品に使われる以外では、原子力発電所の核燃料の容器とか、そういう分野でしかほとんど実用例がないために、安全性や危険性に関する情報がなかなか見つかりません。

実際、ジルコニウムの危険性を調べて、当サイトに辿り着く方が、とても多いようです。

そこで、今日は、ジルコニウムの宝飾品の開発に携わって、かれこれ17年になる私の見地から、ジルコニウムの指輪の危険性を考えられる限り、すべて書き残しておきたいと思います。

考えられうる危険性は、次の5点になるかと思います。

1.金属アレルギーをはじめとした生化学的な危険性

2.電磁波の影響など、電磁的な危険性

3.割れたり、あるいは硬くて切断できないなどの物理的な危険性

4.採掘や流通の過程で、紛争や犯罪の影響を受けることによる精神的な悪影響

5.加工する制作者側の危険性


1つずつ、詳しく書いてゆきたいと思います。



1.金属アレルギーをはじめとした生化学的な危険性

ジルコニウムの生化学的な危険性は、限りなく低いです。

ほとんどの酸やアルカリに溶けず、化学的に安定しているため、金属アレルギーや金属中毒の原因になることがありません。

金属イオンとして溶け出さないので、ガルバニック腐食も無いですし、電池効果による電流の発生もないです。

金属ジルコニウムが宝飾品に使われるようになったのは20年ぐらいですが、ジルコニウムの酸化物であるジルコニアは、人工骨や歯科材料として、ずっと以前から用いられています。

ジルコニウムの鮮やかな発色も、原理としてはジルコニウム表面にジルコニアの酸化膜を発生させて、構造発色を起こさせたものです。歯科材料と同じジルコニアなので安全な発色の原理です。塗料のような毒性もありません。

生化学的な安全性は間違いないです。



2.電磁波の影響など、電磁的な危険性

最近では、身に着ける金属製品が、携帯電話の電磁波や、5Gの電磁波の影響を受けるというような情報を目にしたりすることがあります。

金属がアンテナの役割を果たしてそれらの電磁波を集め、身体に電磁波過敏症などの電磁波障害を起こす、などの情報です。

特に鉄やニッケル、コバルトなどの磁性材料に影響が大きいという話も聞いたりします。

しかし、この電磁的な影響については、私自身は明確な回答を持ち合わせていません。また、仮に影響があるとしたら、ジルコニウムに限らず金やプラチナなどの貴金属を含めた全ての金属製品についても同じことが言えるのではないかと思います。

逆に、ジルコニウムと同じ仲間であるチタンは、健康グッズとして生体内の電流を整え、肩こりが消える、体がポカポカするなどや、電磁波防止になるといったトンデモ科学のような効果が言われていたりします。これに関しても、私には分かりません(信じていないと言ったほうが適切なのかもしれません)。

また、左手の薬指に付ける結婚指輪は、左手の薬指から性的なエネルギーが発せられる(漏れ出す)ことを防ぐ、気学的な効果があるという話も聞いたりします。それによって浮気ができないようになるのだとか。これも私には分かりません。



3.割れたり、あるいは硬くて切断できないなどの物理的な危険性

ジルコニウムは、硬さは金やプラチナの2〜3倍ぐらいの硬さがあり、かつ粘りのある金属です。

粘りがあるので、割れて、その破片で怪我をするということはないです。

また逆に、骨折などの事故で指輪が万が一抜けなくなってしまった時は、男性の握力であればニッパーで切断することもできる硬さです。

タングステンの指輪(実際には超硬合金の指輪)は、硬すぎるために骨折時に指輪を切断できず、指が壊死してしまった事故が起きたというニュースを聞いたことがありますが、ジルコニウムはそういう危険性はないかと思います。

ちなみに、福島の原発事故での水蒸気爆発は、ジルコニウムが原因でした。ウラン核燃料の容器として用いられているジルコニウム容器が高温に加熱され、反応性が高くなったジルコニウムが冷却水の水分子から酸素を引き剥がし、残った水素に引火して爆発が起こりました。1000℃近くまで加熱されたジルコニウムがそのような活性を示すことは知られていますが、日常生活でそのような状態になることは想定する必要がないかと思います。



4.採掘や流通の過程で、紛争や犯罪の影響を受けることによる精神的な悪影響

ジルコニウムは、「ジルコニアサンド」や「ジルコン」の鉱物の形で大量に算出し、大部分はそのままジルコニアセラミックとして、世界中に大量に流通しています。

ですので、奪い合いはないですし、紛争や犯罪の影響を受ける過程は存在しないかと思います。

ジルコニアを還元し精製したものが、金属ジルコニウムです。ジルコニアの流通量に対して、金属ジルコニウムの流通量は、ほんのごくわずかです。この還元精製の工程に非常に大きなコストがかかるため、金属ジルコニウムは超希少です。



5.加工する制作者側の危険性 

実は、これがもっとも大きな危険性かもしれません。

ジルコニウムの粉体は、爆発性があることが知られていますが、これはジルコニウムが酸素と激しく反応する性質を持つためです。

同様に、ジルコニウムを削り出すときに発生する、ジルコニウムの削り屑は引火すると、激しく燃え上がります。

こちらに、ジルコニウムの激しい発火の様子を動画に撮ってみました。

こまめに切削屑を管理しないと、もし万が一溜まった切削屑に引火した場合、大事故に繋がりかねないです。これは本当に怖いです。


以上です。

出来上がった状態のジルコニウムの指輪は、非常に安全なものです。

どうぞ、色とりどりのジルコニウムの制作記録集をお楽しみください。
https://tokyo-diamond.jp/voice-zirconium/



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