真っ黒な結婚指輪を実現するためのアイデア13選

色落ちに強い黒!真っ黒なジルコニウムの結婚指輪 Zirconium Rings

「真っ黒な結婚指輪を探していて、TOKYO DIAMONDさんのホームページを見つけました。」

そんなお問い合わせをよくいただきます。

そこで、本コラムでは、真っ黒な素材で、結婚指輪に使えそうなものを挙げられる限り列挙して、それぞれのメリット・デメリットを書きたいと思います。

また、TOKYO DIAMONDで、真っ黒な指輪の素材としてよくご注文をいただく、タンタルとジルコニウムという2つの金属素材についても、なぜ選ばれるのかをお伝えします。


結婚指輪に使えそうな真っ黒な素材

結婚指輪に使えそうな真っ黒な素材を考える場合、2つのパターンがあります。

それは、

1】素材そのものが真っ黒な素材

2】表面が真っ黒になるコーティングや表面処理

の2パターンです。


素材そのものが真っ黒であれば、表面が削れても、いつまでも真っ黒なままです。

逆にコーティングや表面処理で真っ黒にする場合は、表面が削れたり、キズがつくと、地の素材の色が露出することになります。


【1】の素材そのものが真っ黒な素材として挙げられるのが、

  • タンタル
  • 黒色のセラミック(陶器・磁器)
  • 黒色の鉱物(黒水晶、ヘマタイト、黒曜石)
  • 黒色のガラス
  • 黒色のプラスティック
  • カーボン
  • タングステン(タングステンカーバイド)


【2】の表面が真っ黒になるコーティングや表面処理として挙げられるのが、

  • ジルコニウムの黒色発色(ジルコニウムブラック)
  • DLCコーティング
  • 赤銅の煮色、四分一の煮色、いぶし銀
  • ルテニウムメッキ
  • 黒色の塗装
  • 鉄の黒皮

それぞれ、詳しく見てゆきたいと思います。


素材そのものが真っ黒な素材7つ

タンタル
タンタル ペアリングオーダーメイド 幅3.6mm(左)と幅2.5mm(右)
ペアで¥340,200(税・送料込み)
<詳細はこちら>

この宇宙に存在する、すべての金属元素の中で、最も黒い金属が、このタンタルというレアメタルです。

TOKYO DIAMONDでは、最も人気のある素材でもあります。

人気の理由は、ゴールドやプラチナを超える耐食性があって、まったく錆びない、変色しない、そして金属アレルギーの心配がないという、素晴らしい性質からです。

鏡面研磨というピカピカに磨く研磨をすると、黒くて、非常に澄んだ透明感に仕上がります。

また、ツヤ消し仕上げを行なうと、より黒色が強調されます。

タンタルベース・22金イエローゴールド ペアリングオーダーメイド 
幅5.0mm(奥)と幅3.0mm(手前)
ペアで¥436,320(税・送料込み)
<詳細はこちら>

この後に挙げる黒色の素材に比べて、タンタルが結婚指輪の性質として優れているのは、金属特有の展延性を持つ点です。展延性があれば、将来に渡ってリングサイズが変わってもサイズ修正を行なって、ずっと大事に着けられます。また割れてしまうようなこともありません(金属は強い力が加わると曲がって粘り強く耐えます)

一方で、タンタルの黒色を、「思ったほど黒くない」とおっしゃる方もおられます。金属の銀色の輝きをする中で黒めの素材という感じです。

また、タンタルは素材自体の価格が高いため、価格が比較的高くなる点において、気軽には買えないというデメリットもあります。


黒色のセラミック

セラミックというのは、金属の塩(主に酸化物)を焼き固めたものです。

黒色のものとしては、ジルコニアセラミック(酸化ジルコニウムのセラミック)や、アルミナセラミック(酸化アルミニウムのセラミック)、他には陶器に黒色の釉薬をかけたもの、などがあります。

腕時計のベゼルにも用いられているのはジルコニアセラミックです。

セラミックは、金属とは違って、金属イオンが溶け出さないので金属アレルギーの心配がないなどの安全性も高いです。また工業的に生産できるため、価格も抑えられます。

ただ、セラミックの弱点は、衝撃に弱く、落としたりしただけで割れたり欠けたりしてしまう可能性がある点で、結婚指輪の素材としては不安なところもあります。

また、サイズ直しもほとんどできません(種類や配合によっては削れば少し大きくすることは可能)。


黒色の鉱物(黒水晶、ヘマタイト、黒曜石)

鉱物というのは、金属塩が火山活動などの高温によって結晶したものです。黒水晶、ヘマタイト、黒曜石などが黒色の鉱物としてよく知られています。

ヘマタイトのリングは楽天などでも見かけます。

他、人工的に結晶を作成した人工鉱物も、同じ仲間です。黒色の人工サファイア、黒色の人工ダイヤモンド、人工シリコンウェハーなどの黒色の素材もあります。

鉱物も弱点は、セラミックと同じく、衝撃に弱く、落としたりしただけで割れたり欠けたりしてしまう可能性がある点です。

人工サファイアや人工ダイヤモンドであれば、ほとんど割れることはなくなりますが、高価になってしまう点、加工性が良くなく思い通りの造形がしづらい点から、現状では扱いが難しいです。(今後の実現可能性は大いにあり得るとも思います)

また、サイズ直しができません。


黒色のガラス

ガラスとは非晶質の固体の総称ですが、狭い意味でのガラスは溶かしたケイ酸塩を固めたものです。

黒色のガラスは、ガラスに顔料や色素を溶かし込んだものです。遮光ガラスとして使われるオーレクトロガラスや、ほか石英ガラスにも黒色のものがあります。

金属アレルギーの心配が無いなど、素材として可能性はあります。

ガラスも、落としただけで割れたり欠けたりする点、サイズ直しができない点で、結婚指輪の素材としては扱いづらいデメリットがあります。


黒色のプラスティック

樹脂に、黒色の顔料や色素を加えたものです。

身近なものでは、アクリル樹脂の黒色のもの、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ほかエンジニアプラスティックにも黒色のものがあります。

ほか、黒色のシリコンゴムや、黒色のニトリルゴムなどの人工ゴムも、広い意味でのプラスティックです。

加工性が良く、安価で、衝撃に強いなどのメリットがありますが、紫外線劣化が起こる、割れる、変色するなど、長持ちしない点はデメリットです。


カーボン

ここで言うカーボンというのは、黒鉛の繊維(カーボンファイバー)を、熱硬化性樹脂で固めた、繊維強化プラスティック(FRP)の一種です。

カーボンファイバーの織り目を見せたりと、カーボン特有の意匠を活かしたデザインなども可能です。

衝撃にも強く、丈夫な素材です。サイズ直しはできません。

ちなみに黒鉛を焼き固めたもの(まさに本当のカーボン)も真っ黒の素材ですが、鉛筆の芯と同じものですので、こするとすり減ってゆきます。


タングステン(タングステンカーバイド)

「タングステンの指輪」として出回っているものが、このタングステンカーバイドです。

炭化タングステンをコバルトやニッケルで焼き固めたものです。金属とセラミックの中間的な性質を持つ素材としてサーメット(Sermet)の一種です。

色はタンタルとほぼ同じ黒さを持ち、非常に硬いためキズもほとんどつきません。また工業的に量産できるため安価である点もメリットです。

ただ、展延性が全くないのでサイズ直しができず、添加されたコバルトやニッケルが金属アレルギーの原因になる点もデメリットとして挙げられます。


表面が真っ黒になるコーティングや表面処理6つ

ジルコニウムの黒色発色(ジルコニウムブラック)
ジルコニウム ペアリングオーダーメイド 幅3.5mm(左)と幅2.0mm(右)
ペアで¥308,880(税・送料込み)
<詳細はこちら>

TOKYO DIAMONDでは、タンタルの次に人気の黒色の素材がジルコニウムです。

ジルコニウムは、高温(約800℃)に熱すると、酸化したジルコニウムが強固で緻密な皮膜を形成して、真っ黒に発色します。

この酸化ジルコニウムの黒色皮膜は、硬くて、基材であるジルコニウムと強固に結びついているので、耐久性が非常に高いことが特徴です。使い方にはよりますが数十年は黒いままだと予想されます。

タンタルに比べて、ジルコニウムの黒色が選ばれるのは、より真っ黒で、価格も少し低く抑えられる点です。

金属材料なので、適度な粘りがあり、サイズ直しもできますし、割れたり欠けたりすることもありません。


DLCコーティング

ダイヤモンドライクカーボンとか、ダイヤモンドコーティングとか呼ばれたりします。

チタンのリングや、プラチナのリングの表面に、気相ダイヤモンドを蒸着して作成します。ダイヤモンドとダイヤモンドになりきれないカーボンが混ざった蒸着なので黒色の皮膜になります。

ダイヤモンドに近い硬さを持った皮膜なので、耐久性も高いですし、様々な技術的な工夫によって、耐久性を高める努力がされています。

しかし、ジルコニウムブラックのほうが、蒸着の設備も必要なく加熱するだけで美しい黒色皮膜が得られるので、TOKYO DIAMONDではDLCコーティングを用いることはほとんどありません。いくらDLCの密着を高める努力をしても、ジルコニウムそのものの表面が変化したジルコニウムブラックの耐久性には敵わないだろうと予想しています。

DLCコーティングのリングのサイズ直しは、できなくはないですが、サイズ直し加工によってコーティングにヒビや剥離が起きます。


赤銅の煮色、四分一の煮色、いぶし銀

古くから工芸の世界においては、黒色の表面を得ることに苦労してきた歴史があります。

そんな中で、伝統工芸で黒色の表面を得るために用いられてきたのが、赤銅(しゃくどう)や四分一(しぶいち)の煮色(にいろ)という技法です。

銅に金を1〜5%混ぜた合金を赤銅と言います。また銅に25%の銀を混ぜた合金を四分一と呼びます。これらの銅合金を硫酸銅と緑青の混合水曜機中で煮込むと、黒色〜灰色の着色を得ることができます。

ただ、皮膜は非常に柔らかく、簡単に色落ちします。伝統工芸においてはその上にロウを塗ったり、近代ではクリアラッカーを吹き付けたりして保護しますが、結婚指輪の素材の黒色としては頼りないです。

他、銀を硫化させると、いぶし銀と言われる、黒色の硫化銀の皮膜が得られます。この硫化銀皮膜も高度が低く永続性はありませんが、いぶし銀の雰囲気は好みの方もいるっしゃると思います。


鉄の黒皮

鉄には、黒い酸化膜をつけることができます。

黒皮(くろかわ)呼ばれたり、黒錆と呼ばれたりします。

ただ、鉄は錆びますし、溶け出した鉄は鉄臭く、過敏な方は金属アレルギーの原因になったりするので、結婚指輪の素材としては、あまり適しません。


ルテニウムメッキ

プラチナの表面に、ルテニウムをメッキすると黒くなります。

ブライダルジュエリーにおいて、女性リングのプラチナリングとペアで、黒いルテニウムメッキのプラチナリングを取り扱うブランドを見かけることがあります。

ルテニウムは表面硬度も高く、比較的耐久性も高いのですが、やはり3〜5年もすると剥がれてしまいます。よくぶつかる部分から剥がれてゆきますので、剥がれた場合をあらかじめイメージできるといいですね。


黒色の塗装

金属表面に、黒色の塗料を塗る方法です。

塗装の素材開発、技術開発も進歩しており、自動車の塗装などは、相当レベルの耐久性を持ちます。

塗装については専門外なので、ここでは詳しくは言及しませんが、ずっと着ける結婚指輪は、日常生活において相当の頻度や衝撃で色々なものにぶつかります。

表面加工だけで黒色を永久的に保つことは、非常に難しいと考えられます。


まとめ

以上、13の黒色の素材に触れました。

結婚指輪の素材として、金属が最も適している(展延性があるためサイズ直しができる、割れたり欠けたりしない)上で、金属の色そのものが黒いタンタルと、より真っ黒で黒色皮膜が非常に強固なジルコニウムの2つが、黒い結婚指輪の素材として適していることをお伝えさせていただきました。

TOKYO DIAMONDでは、本コラムで紹介したタンタルやジルコニウムをはじめ、様々な素材をご用意いたしております。

タンタル、ハフニウム、ジルコニウム、イリジウムはじめ、22金やイリジウム割プラチナなど様々な素材や、デザインのサンプル、
様々な素材やデザインのサンプルをご用意しています。

代官山までお越しいただけましたら、実際に素材に触れて、ご自身の目でご覧いただいた上でご注文が可能です。

お打ち合わせ・ご注文の詳細は<こちら>をご確認ください。



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