鍼灸による皮膚の炎症、金属アレルギーの心配は?

鍼灸による皮膚の炎症、金属アレルギーの心配は?

鍼灸治療(しんきゅうちりょう)とは東洋医学で用いられる治療法のひとつで、鍼(はり)や灸(きゅう)で体表のツボから刺激を与え、さまざまな病気を改善したり、予防したりする技術です。

鍼灸を行えるのは国家資格を持った鍼師、灸師だけです。鍼灸治療については、日本だけでなく世界の公的機関も注目しており、アメリカの国立衛生研究所(NIH)も有効性を認める発表を行っています。

果たしてどのような効果があるのでしょうか。また鍼灸治療を受けてみたい方の中には、金属アレルギーをお持ちの方もあり「治療は受けてみたいものの、鍼でかぶれることがあるのではないか」と心配される場合もあるようですが、本当にその可能性はあるのでしょうか?



鍼灸治療の効果、効能

一般的に鍼灸の効能といえば、肩こり、腰痛、自律神経失調症などが思い浮かぶのではないでしょうか?

しかし公益財団法人日本鍼灸師会によると、鍼灸の適応症は次の通りということです。

〇神経系疾患
神経痛、神経麻痺、痙攣、脳卒中後遺症、自律神経失調症、頭痛、めまい、不眠、神経痛、ノイローゼ、ヒステリー

〇運動器系疾患
関節炎、リウマチ、頚腕症候群、頚椎捻挫後遺症、五十肩、腱鞘炎、腰痛、外傷後の後遺症(骨折、打撲、むちうち、捻挫)

〇呼吸器疾患
気管支炎、喘息、風邪および予防

〇消化器系疾患
胃腸病(胃炎、消化不良、胃下垂、胃酸過多、便秘、下痢)、胆嚢炎、肝機能障害、肝炎、胃十二指腸潰瘍、痔疾

〇代謝内分泌系疾患
ハセドウ氏病、糖尿病、通風、脚気、貧血

〇生殖、泌尿器系疾患
膀胱炎、尿道炎、性機能障害、尿閉、腎炎、前立腺肥大、陰萎

〇婦人科系疾患
更年期障害、乳腺炎、白帯下、生理痛、月経不順、冷え症、血の道、不妊

〇耳鼻咽喉科系疾患
中耳炎、耳鳴、難聴、メニエル氏病、鼻出血、鼻炎、ちくのう、咽喉頭炎、扁桃炎

〇眼科系疾患
眼精疲労、仮性近視、結膜炎、疲れ目、かすみ目、ものもらい

〇小児科疾患
小児神経症(夜泣き、かんむし、夜驚、偏食、食欲不振、不眠)、小児喘息、アレルギー性湿疹、耳下腺炎、夜尿症、虚弱体質の改善

以上のうち、神経痛、リウマチ、頚腕性症候群、頚椎捻挫後遺症、五十肩、腰痛については健康保険の適用が認められています。したがって、このような症状や疾患でお悩みの方は、西洋医学と並行して鍼灸治療を受けられる方もいらっしゃいます。

金属アレルギーさえなければ受けたいという方もいらっしゃるかもしれません。



治療に使われる鍼(はり)の材質について

鍼は、皮膚に極細の鍼を刺して刺激を与えることで、手の届かない体の中の不調にアプローチできるといわれています。

日本で治療に使われている鍼は、極細で長さは1㎝~10㎝程度までいろいろあります。

極細なので、周囲の組織を痛めることなくツボにアプローチができます。

体内に入れるのですから、肝炎ウイルスやメチシリン耐性黄色ブドウ球菌などに感染しないよう、現代は1回ずつ使い捨て(ディスポーザブル)のステンレス製の鍼を使用する場合がほとんどです。

そもそも鍼は専用の機器できちんと減菌・消毒をすれば何度も使えるもので、職人の手による金や銀で作られた鍼などもあります。

それでは、主流となっているステンレス鍼ですが、金属アレルギーは起こるのでしょうか?

ステンレスは鉄とクロムとニッケルの合金で、アレルギーが起きる可能性はゼロではありません。(ステンレスの鋼材の種類については明言されている資料が見つからなかったです。おそらくSUS316L、一般的にサージカルステンレスと呼ばれる医療用ステンレスだと予想されますので、短時間の施術ではほとんど問題にならないと思われます。)

心配な方は、治療を受ける際にあらかじめそのことを施術者に伝えておくと、長時間の置き鍼を避けたり、シリコンコーティングの鍼で対応してもらえたりしますので、事前に伝えておくことが重要です。



鍼のあとで赤みや湿疹が出た場合

鍼や灸を行ったあと、体質によって不調や不快感が生じることがあります。

東洋医学ではこれを瞑眩(めんげん)と呼び、治癒していく過程での好転反応ととらえています。

治療によって血行が良くなると、溜まっていたものが流れはじめ、不要なものが排出され、それに伴ってさまざまな症状が出るということです。

体が温まったり、軽くなったりする人もいれば、だるさや痛みが現れる場合もあり、人それぞれということです。

一見副作用と思われる不快な症状は、瞑眩であることが多いです。特に慢性の肩こりや腰痛の治療後に瞑眩を感じる方が多いと言われています。

これは長年こり固まった筋肉に神経が圧迫されていたために、痛みすら感じない状態だったのが、治療によって改善され、正常に働き出したために出る症状です。なかには湿疹が現れる方もいます。

これが瞑眩なのか金属アレルギーなのかは判断できませんので、施術を受けたところに伝えるようにしましょう。瞑眩であれば治療を継続すると治まっていく可能性があります。

瞑眩は施術直後から出る方もいれば、数日後に出る方もいるようです。直後にだるさや痛みを感じた場合は入浴や運動を控えて体を休めましょう。


<参考文献・参考資料>

ディスポ鍼 I’SSHIN
https://isshin.asia/

セイリン鍼
https://www.seirin.jp/system_production/quality_policy/

株式会社アサヒ医療器
http://asahi-iryouki.com/products/

Helio USA
https://www.heliousa.com/



このコラムの執筆者


次の記事: »

前の記事:«


新作情報を見る